

下請けだからといって、無理なスケジュールや曖昧な条件を飲んでいませんか?
元請けが下請けに見積もりを依頼する際、法律(建設業法)では「具体的にここまで教えなさい」という明確な基準があります。
これを知っているだけで、不当な値引き交渉や工期の押し付けから自社を守る武器になります。
建設業者が必ず押さえておくべき「見積書のルール」を詳しく見ていきましょう。
※建設業法第19条で定められている内容です
■ 工事の基本(いつ・どこで・何を)
①工事内容、②工期、③休工日・時間帯、④検査・引渡時期
■ お金のルール(いくら・いつ・どうやって)
⑤前払・出来形払、⑥完成後の支払時期、⑦遅延利息・違約金
■ 変更やトラブルへの備え(もしもの時)
⑧工期・代金の変更ルール、⑨天災等の損害、⑩物価変動、⑪第三者への賠償、⑫資材・機械の提供、⑬契約不適合責任(保証)、⑭紛争解決、⑮その他
建設業者側は、建設工事の請負契約を締結すに際して、工事内容に応じて、工事の種別ごとの
注文者側は、上記に記載した①~⑮までの規定を出来る限り具体的な内容を提示し、かつ、当該提示から当該契約の締結又は入札までに、
建設業者が当該建設工事の見積もりをするために必要な政令で定める一定の期間を設けなければならない。
【令6条:必要な見積期間の目安】
・500万円未満:1日以上
・5,000万円未満:10日以上
・5,000万円以上:15日以上
| 500万円未満 | 1日以上 |
| 500万円以上、5,000万円未満 | 10日以上 |
| 5,000万円以上 | 15日以上 |
ただし10日以上と15日以上の部分は、やむを得ない事情がある場合は、5日以内に限り短縮する事が出来る。
1月1日に契約内容を提示した場合にその工事が500万円未満の場合は1日以上であるため
1月3日以降に契約を提示しなければいけない。
見積書を作成するにあたり、法定福利費を内訳提示する必要があるが【厚生年金基金】分も請求していいか?
法定福利費については、雇用保険・健康保険・厚生年金の3種の会社負担分が該当。厚生年金基金は含まれない。
建設業者に工事の見積もりを依頼したところ、法定福利費が計上されていた。これは発注者が負担するのか?
法定福利費については【通常必要と認めれる原価】に含まれることから、発注者として必要経費として適正に負担することを考慮するべき費用
見積もりを設ける期間があるがこれは土・日を含めるか、除くか、また、追加工事の場合、政令6条での金額は追加分のみか、追加+当初の金額か?
土・日祝日を含める。しかし、適切な期間の確保、建設業者の休日の確保という観点を配慮頂く。また、追加工事の場合は、追加分を予定価格として、期間を設けて頂く。
法定福利費とは、法律によって企業が負担を義務付けられている福利厚生費用のことです。
健康保険法や厚生年金保険法などの法律に基づき、従業員を雇用する企業は必ず支払わなければなりません。
具体的には、以下の6種類の保険料・拠出金が法定福利費に該当します。
・健康保険料
・厚生年金保険料
・介護保険料(40歳以上65歳未満が対象)
・雇用保険料
・労災保険料
・児童手当拠出金
建設業では現場作業員のケガや事故のリスクが高いため、これらの社会保険への加入が特に重要視されています。
建設業法 第20条では、適正な施工を確保するために、見積りに関して以下のルールが定められています。
【建設業者(見積る側)が守ること】
【注文者(依頼する側)が守ること】
【もし違反したら?(第7項)】
注文者が不当に低い価格へ変更を強要し、そのまま契約を締結した場合、適正な施工ができないと判断されれば、
国土交通大臣や知事から注文者に対して「勧告」が行われることがあります。
今回解説した通り、建設業法における見積りのルールは、単なる事務手続きではなく「下請業者の利益」と「現場の安全」を守るための法律です。
最後にもう一度、特に重要な3点を振り返りましょう。
「15項目」の具体提示:元請は、曖昧な指示ではなく、工期や支払条件、トラブル時の対応まで具体的に示す義務があります。
「見積期間」の確保:金額に応じた法定期間(1日・10日・15日)を無視した「明日まで」の強要はルール違反です。
「不当な値押し」の禁止:通常必要な原価(特に法定福利費など)を著しく下回る変更を求めることは、行政勧告のリスクを伴います。
「いつもこうだから」という慣習で進めるのではなく、法に基づいた適正な見積り・契約を徹底することが、トラブルを未然に防ぎ、貴社の信頼を勝ち取ることにつながります。
もし、見積条件の提示や法定福利費の計算、契約書の作成等で不安なことがあれば、専門家へご相談することが重要になってきます。
当ブログの記事は、行政書士試験合格者としての学習・研究の一環として作成したものです。現時点では行政書士登録前の立場であり、専門家としての助言や業務提供を目的とした内容ではありません。
最新の法改正や個別事情については、必ず行政庁や行政書士等の専門家へご確認ください。