会社設立時の登記に書けば全部の許可が取れる?10年実務経験「期間重複NG」の罠
「会社設立時の登記に『土木、建築、左官』とたくさん書いておけば、自動的に500万円以上の工事が全部できるようになるよね?」
新しく会社を作って許可を狙う社長の皆様、この認識は要注意です。自力で役所の窓口に行くと一蹴される、建設業界で一番多い「甘い勘違い」と、実務に潜む
「10年実務経験・期間重複NGの罠」をスッキリ解説します。
1. 罠①:定款に書くことと、許可が取れることは「別物」
会社の登記(目的欄)にどれだけ業種を書いていても、それだけで500万円以上の工事はできません。建設業許可は
完全な「業種別ライセンス制」だからです。
📌 福島県の手引きの絶対ルール
建設工事は「29の業種」に分かれており、業種ごとに個別に許可を受けなければなりません。「土木なら土木」「左官なら左官」の許可証が手元にない限り、500万円以上の工事は一切不可です。
2. 罠②:「経管」を連れてきても「技術者」がいなきゃアウト
「引退するベテラン社長を役員に迎えるから、経営責任者(経管)の要件はクリアだ!」
ここまでは大正解。しかし、許可を取るにはもう一人、各営業所に
「営業所技術者(旧:専任技術者)」を置く必要があります。
雇い入れた職人さんが
「その業種の国家資格」を持っているか、または
「10年以上の実務経験」を書類で証明できなければ、その業種の許可は絶対に下りません。
3. 最大の落とし穴:資格なしで2業種を狙うと「合計20年」必要!?
「うちの職人は土木も左官も両方10年以上やってるから、1人で2つの業種を担当させよう!」
実は、ここが実務上で最も恐ろしい、社長たちが一番ハメられる罠です。
⚠️ 福島県の手引き(実務経験証明書)の警告
「実務経験で2業種以上の担当になろうとする場合、実務経験期間は重複できない」
同じ期間(年月)を、2つの業種に被らせて二重カウントすることは法律上一切認められません。国家資格を持たない一人の職人さんで2業種を取ろうとした場合、期間を完全にバラさなければならないため、以下の計算になります。
【土木で10年】 + 【左官で10年】 = 合計20年分 の実務証明が必要!
「すべての業務を10年で同時にやろうとしたら大変なことになる」というベテラン社長の指摘は、まさにこの足し算ルール(合計240ヶ月分の書類集め地獄)のことなのです。
4. 【実務の正解】まずは「最優先の1業種」に絞るべし!
失敗リスクをゼロにして、賢く最短で許可を広げるための王道ステップです。
実務上の賢い正解ルートは、以下の2ステップです。
🎯 確実かつ安全に許可を広げる手順
① まずは「今すぐ500万以上請けたい最優先の1業種」に絞って新規申請を行う。
確実に証明できる資格や10年の書類が揃っているメイン業種から、まずは会社の看板(許可通知書)を勝ち取ります。
② 後から他の専門業種を「業種追加」で増やしていく。
メインの許可を維持しながら、自社の若手に施工管理技士補などの資格を取らせたり、他の有資格者を中途採用したりして、後から1業種ずつ「業種追加」の手続きで安全にビジネスを拡大していきます。
まとめ:複雑な要件は自己判断しない
建設業許可は簡単に進みません。「この職人の経歴で何が取れる?」「どれを先に申請すべき?」という要件は1社ごとに全く異なります。
経営業務管理責任者・営業所技術者等の要件をしっかりと確認して、要件をみたすことが出来るか確認することが重要となります。
※留意事項
当ブログの記事は、行政書士試験合格者としての学習・研究の一環として作成したものです。現時点では行政書士登録前の立場であり、専門家としての助言や業務提供を目的とした内容ではありません。最新の法改正や個別事情については、必ず行政庁や専門家へご確認ください。