個人事業主が「会社員」に戻ったら建設業許可はどうなる?常勤性喪失から許可取消への流れ
「今、個人事業主として建設業許可を持っているけれど、数年の間、
一度会社員に戻ろうと思っている。その間、うちの建設業許可ってどうなるのかな?」
そう疑問に思ったことはありませんか?実は、私自身も疑問に思ったことがあります。「籍だけ残しておけば、許可はそのままキープできるだろう」と軽く考えていると、取り返しのつかない事態に陥ります。
結論から申し上げますと、
個人事業主の社長が他社に就職した時点で、自社における「常勤性」が完全に消滅するため、建設業許可は法律上(廃業)となります。
今回はそのタイムラインと法的な裏付けをスッキリ解説します!
1. なぜ会社員になるとアウト?行政がチェックする「常勤性証明の優先順位」
建設業許可を維持するためには、経営業務管理責任者(経管)と営業所技術者(旧:専技)が、その事業所に
「常勤」していなければなりません。他社でフルタイムの会社員になるということは、自社での常勤性を失うことを意味します。
福島県の手引きでは、この常勤性を確認するために
「用意できる最も上位の公的書類をいずれか一つ提出せよ」という厳格な優先順位を定めています。
📋 【個人事業主】の常勤性証明書類・優先リスト
- 第1順位: 健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書の写し
- 第2順位: 健康保険・厚生年金被保険者資格取得確認及び報酬決定通知書の写し
- 第3順位: 住民税特別徴収義務者及び税額通知の写し + 直近の領収書セット
- 第4順位: 所得税確定申告書の写し
※事業主や専従者欄に記載があり、十分な給与額等から常勤性が推定できるもの(令和7年1月以降分は税務署の受付印は不要)。
リストの通り、行政は
「社会保険の公的な加入記録(他社に加入していない証拠)」を最大の証拠として求めます。あなたが就職先の会社で社会保険に加入した瞬間、自社側のこの社会保険記録や確定申告書の裏付けが一切出せなくなるため、役所に常勤性の喪失(=許可要件違反)が見つかる仕組みになっているのです。
2. 【4つのステップ】会社員に戻った瞬間に始まる「許可取消」のカウントダウン
個人事業主の社長が他社へ就職した日から、許可が正式に消滅するまでの恐ろしい法的な時系列の流れ(時系列まとめ)です。
1 【就職した当日】 常勤性の完全喪失 [根拠法:建設業法 第7条第1号・第2号]
他社へ就職したその日から、自分の事業における「常勤性」を失います。代わりの技術者や経管を雇わない限り、法律上の許可基準を満たさなくなります。
2 【就職から2週間以内】 要件欠如の届出義務 [根拠法:建設業法 第11条第5項]
許可の基準を満たさなくなった場合、「2週間以内」にその旨を書面で知事に届け出なければならないと厳格に定められています。個人事業主で代わりがいない場合、この時点で要件欠如(アウト)が確定します。
3 【就職から30日以内】 廃業届の提出義務 [根拠法:建設業法 第12条第5号]
経管・専技が不在のまま営業は続けられないため、実態として「建設業を廃止した」状態になります。法に基づき「30日以内」に廃業届を提出する必要があります。(※実務ではStep2の届出と同時に行います)
4 【最終結末】 福島県による「許可の取消処分」 [根拠法:建設業法 第29条第1項]
届出を受理した役所は、建設業法第29条の規定に基づき、「当該建設業者の許可を取り消さなければならない」として、現在の建設業許可を正式に失効(取消し処分)とします。
まとめ:再び独立して許可を取り直す将来を見据えるために
個人事業主の社長が一度会社員に戻る場合、残念ながら「許可を維持したまま眠らせておく」という裏技はありません。
他社への就職(
常勤性喪失) →
2週間以内の要件欠如届 →
30日以内の廃業届 →
役所による許可取消、という一連の手続きを適法に踏むことが義務づけられています。
もしこの廃業の手続きを無視して隠れて会社員を続け、後から役所の調査で「無届の要件違反」が発覚した場合、
最悪のケースとして悪質なペナルティ(許可の強制取消)を受け、数年間は再取得できなくなるリスクがあります。
※留意事項
当ブログの記事は、行政書士試験合格者としての学習・研究の一環として作成したものです。現時点では行政書士登録前の立場であり、専門家としての助言や業務提供を目的とした内容ではありません。最新の法改正や個別事情については、必ず行政庁や専門家へご確認ください。